レーザートーク、エレベーターピッチ、エレベータートークって何?

昼は夏のように暑く、夜は冬のように寒く、朝は空気が乾燥して喉が痛い。
これを秋と呼ぶのでしょうか。

めっきり秋めいてきましたね。

ホームページ制作の現場では

私は普段、ホームページを制作する仕事をしています。
クライアントがホームページで目的を達成するために、まるでコーチのように質問を投げかけ、抱えている問題や課題、持っている強みやリソースを聞き出し(引き出し)、サイト全体の構成を決め、それぞれのページに上から順番に何を並べて見せていくか、といったコミュニケーションをとります。

なかでも重要になるのが、トップページの一番上の部分、メインビジュアル(キービジュアル)と呼ばれる箇所に記載する、キャッチフレーズ(キャッチコピー)の内容です。
ページにアクセスしたときに表示される領域のことをファーストビューと呼びます。

ユーザーがトップページにアクセスして「続きを見る」か「立ち去る」かを判断する時間は、2、3秒と言われていますので、ファーストビューで目に入る言葉は慎重に選んでいます。

これはホームページの話で、実際のビジネスシーンとは違いがありますが、短い時間で「必要だ」「続きが聞きたい」と、顧客の興味や関心を引きつけるプレゼンテーションの手法のことをレーザートークといいます。

大事なことは「相手に動いてもらうこと」

  • レーザートーク(Laser Talk)
  • エレベーターピッチ(Elevator Pitch)
  • エレベータートーク(Elevator Talk)

ピッチ(Pitch)は、投げるという意味で使われるのが一般的ですが、ビジネスシーンでは「短いプレゼンテーション」「売り込む」という意味になります。

これらの言葉は「15秒〜30秒の短い時間で、相手に興味を抱かせるための会話術」という意味を持ちます。
大事なことは、ゴールは「話を理解してもらうこと」でも「興味を抱いてもらうこと」でもなく「相手に動いてもらうこと」です。

結論と根拠(理由)

まずは「結論は何か」「相手をどこに動かしたいのか」を明確に決めます。
結論を言うからには根拠があります。
話が長くならないように、でもしっかりと伝わるように、「早い・安い・美味い」「近い・綺麗・丁寧」など、根拠の目安は3つくらいが望ましいです。
根拠に、それぞれ1つか2つの事実を加えることで、相手の頭の中にイメージが湧きます(注文してから1分で提供する早さ。他が600円のところ500円で提供する安さ。グルメサイトで長年にわたり高い評価を得ている味の美味しさ)。

「根拠は3つあります」と、指を3本立てて話し始めると、相手は聞く準備、メモを取る準備をします。

トークは、相手に興味を抱いていただき、「続きを知りたい」「もっと話したい」「詳しく聞かせてほしい」「また会いたい」「私はどうすればいい?」「ほしい!ほしい!」と言ってもらえるように設計します。

15秒で心をつかむ

人間の記憶力は15秒を過ぎたあたりから急激に減少していくため、「印象に残る」「心をつかむ」ための勝負は最初の15秒で決まると言われています。

言葉の選び方と、話の構成を熟考し、「全体から詳細へ」という流れをつくります。
相手の立場になって考え「どんな言葉に反応を示すか」「大きく頷くか」を克明に想像することが大事です。

「このトークは相手を動かすことに繋がっているか?」「できることをすべてやりきっているか?」と、何度も自分に問いかけ、話し方や内容を見直して調整を加えます。

与えられた時間が15秒の場合、30秒の場合、45秒の場合、1分の場合など、状況に応じてトークの内容を組み立てられるようにし、鏡の前で話す、仲間に話す、話しているところを録画して何度も見返すなど、日々の訓練を繰り返すことによって、磨き抜かれた会話術が身につきます。

事前に相手が抱えている課題を知ることができる場合は「”○○○”を叶えます」など、空欄を埋めることで成立するトークも考えておきましょう。

ビジュアルを見せる

私は冒頭で、ホームページは2、3秒が勝負と書きました。
そしてビジネスシーンのトークでは最初の15秒が勝負と書きました。
この秒数の差は「目で見るか」「耳で聞くか」の違いが大きな要因です。

最初の15秒で、トークをしながら「画像、イラスト、図形など」を、「紙、スマホ、タブレットなど」で見せることができれば、相手に多くの情報を瞬間的に伝えることができます。

コーチングのように、形のないものを販売する「無形サービス」の場合、トークだけで相手の心を動かすことは至難の業です。
場合によっては、相手が頭の中で、こちらが意図するものとは異なるイメージを描いてしまうことも考えられます。

こちらのイメージを相手の頭の中に移植するためにも、積極的に「ビジュアルを見せる」ことを取り入れましょう。

おまけ

もし私がコーチングのスクールを卒業したばかりの新米コーチだったら

私がコーチだったら、「コーチングのコーチです」「答えは自分(あなた)の中にあります」といった言葉が、相手には絶対に伝わらないだろうなと考え、「想像してみてください」と言ってからこのイラストを見せます。

コーチングとは何かを説明するときのイラスト

イラストに指を差しながら『血の滲むような訓練を受けて、コーチングという名前の技術を習得した人のことをコーチと言います。これが私です。コーチはトリッキーな質問をすることで、相手の頭の中を整理し、相手の夢や目標を達成するための支援を行います。私と一緒に、来年の「やるべきことカレンダー」を作ってみませんか?』といったことを話します。

次に「アイゼンハワーマトリクス」を見せます。

イラストに指を差しながら『「重要ではないが緊急」なことは誰かに任せ、「重要でも緊急でもない」ことは無視です。多くの人や組織は「重要かつ緊急」なことで手一杯になっています。しかし成長を続ける人や組織は、共通してこの「重要だが緊急ではない」ことと向き合う時間をとっています。コーチングで扱う領域はここになります』といったことを話します。

次に「重要だが緊急ではない」の具体例を見せます。

重要だが緊急ではない

そして『どうでしょうか。実際に「重要だが緊急ではない」ことで、確かにそうだとか、取り組みたいとか、思い当たるものはありませんか?もしよければ、この領域に焦点を当てて、私と対話するための時間を、3回だけ作っていただけませんか?』といったことを話します。

そして『「やるべきことカレンダー」を作った先の未来と、「やるべきことカレンダー」を作らなかった先の未来を想像してみてください』といったことを話します。

次に「BINGOしたときの喜ぶお姉さんの写真」を見せます。

そして「コーチングを受けたクライアントの多くは、このように毎日を生き生きとした表情で過ごしています」といったことを話します。

次に「料金システム」を見せます。

そして「1回あたり50分のセッションで25,000円になります。いかがでしょうか?」といった話をします。
活動エリアが関西圏の場合は、先に「料金は1億円になります」と言ってから見せることも可能です。

次に、間髪を入れず「BINGO姉さんパート2」を見せます。

ここは無言でOKです。
沈黙が続いた時は、写真を拡大したり、揺らすなどしてみます。

当然ですが相手は「わ、わ、わかりましたよ。受けりゃいいんでしょ」と言ってきます。

次に、「BINGO姉さんパート3」を見せて、終了です。

おまけ2

エレベーターでのチャンスをゲットする確率が、一気に高まる方法が1つだけあります。

まずは、うまく重ね着をして、ポケットの数がトータルで12個になるようにします。
それぞれのポケットにプロ野球12球団の、キーホルダーなどの小さいグッズを1つずつ忍ばせておきます。

相手への第一声は「あの〜突然すみません。野球はどの球団を応援していますか?」とアプローチし、答えを聞いたら「やっぱり、そうだと思った。じゃぁこれ差し上げます」と言って該当する球団のグッズをポケットから出して渡しましょう(この時「もらってください」と言うのはNGです。下手に出てはいけません)。

相手がグッズを受け取った瞬間、あなたはわずかに優位な立場からものが言えるようになります。
実践してみてください。

追伸

私は10年ほど前、テレビを見ていた時、歌手の泉谷しげるさんが「あの女はすごい」と、女優の中谷美紀さんをベタ褒めしていたことを鮮明に覚えています。

なぜなら、私も「確かにすごい」と思ったからです。

ある日、泉谷さんの楽屋に中谷さんが入ってきて、雑談をしていました。
すると中谷さんが突然「あの、オナラをしてもいいですか?」と言い、泉谷さんがびっくりして「ど、どうぞどうぞ」と言うと、実際にブーっとオナラをしたそうです。

「あの女はすごいよ、あんなやつ、はじめてだよ」と言っていた泉谷さんを見て、私も「確かにすごい、これからは中谷美紀を応援しよう」と思いました。

レーザートークがどうしてもうまくできないという方は、どうぞ参考にしてみてください。

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