接客・接遇マナー研修とコーチング研修の親和性

近年、サービス業をはじめとするビジネスの現場では、お客様とのコミュニケーションや印象づけの能力が重要視されているため、「接客・接遇マナー研修」と「コーチング研修」は、従業員のスキル向上やチームのパフォーマンス向上に寄与する重要な要素となっています。

興味深いことに、これら二つの研修は意外なほど親和性があります。

まず「接客・接遇マナー研修」は、お客様に対する正しい態度や礼儀を学ぶことを目的としています。
しかし、これは単なる表面的な振る舞いだけでなく、相手のニーズを理解し、適切に応対するためのコミュニケーション能力を向上させるものでもあります。
一方で「コーチング研修」は、個々の能力や成長のポテンシャルを最大限に引き出すことを目指しています。

お客様に対する適切なリスニングや質問のスキルは、社内コミュニケーションにも応用が可能です。
相手のニーズを理解し、適切なフィードバックを提供することは、お客様対応だけでなく、同僚や部下との関係構築にも役立ちます。

さらに、両研修は目標設定と成果の評価においても共通点があります。
接客業ではお客様の満足度が目標とされますが、コーチングも個々の成長や目標達成を追求します。
共通のフレームワークを使用することで、従業員は自らの目標を明確にし、その達成に向けて効果的なアクションを取ることができます。

「接客・接遇マナー研修」と「コーチング研修」は、それぞれの特性を理解しつつ、組み合わせることでより強力な効果を発揮します。

従業員がお客様との良好な関係を築くだけでなく、自らの成長にも寄与することで、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。

『関係の質』を高めることから始める

コーチングとは、対話を通して、メンバー・部下の可能性を最大限引き出し、ありたい姿に近づくようサポートしていくもの

「マネジメントやリーダーシップのあり方は、従来の『管理型・支配型のリーダーシップ』から『支援型リーダーシップ』『サーバントリーダーシップ』が求められています。『上司が命令し、実行するのは部下』という考え方は、もはや通用しなくなっていることに気づく必要があります。

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム博士が提唱している『成功の循環モデル』というものがあります。多くの企業を検証した結果、成功している企業は『関係の質』が高いところであるといいます。

よくありがちな『売り上げを上げろ』『利益を出せ』と結果だけを求めて、社員の尻を叩くパターンですが、こうしたやり方では、一時的に結果を出せることがあったとしても、社員は『やらされ感』でやっているので、自ら主体的に考え、行動しようとしないので、業績にはなかなか結び付かず、社内の空気も悪くなって悪循環に陥る、いわゆる『バッド・サイクル』になってしまっている会社が多いことです。

成功するためには、遠回りのようですが、『関係の質』を高めることから始めることです。『関係の質』とは、社員と幹部、社員同士がお互いを尊重し、信頼関係で結ばれていて、お互いに建設的な意見が交わされているようなチームのことを言っています。

『関係の質』が高いと『思考の質』『行動の質』も高まり、主体的に考え行動するようになり、その結果、業績も上がる、いわゆる『グッド・サイクル』が回り出します。
そして、この『関係の質』『思考の質』を高めるうえで不可欠となっているのが『コーチング』です。

社員一人ひとりの主体性を引き出し、自ら考え行動する自律型の人材を育成することを目的としています。リーダーやマネージャー自身が、コーチングの考え方やコーチングスキルを身につけて社内で展開できる『社内コーチ』を育成することで、安心・安全な場づくりや、新たな組織文化の構築にも効果を発揮しています。

日本国内では2012年頃より、大企業を中心に上司が部下と定期的に面談する『1on1ミーティング』が導入されてきていますが、従来から行われている目標管理や進捗管理のための面談ではなく、メンバー・部下の成長支援を目的にしているところに大きな特徴があります。そしてこの『1on1ミーティング』を効果的に実施していくうえでも、リーダー、マネージャーがコーチングの考え方やスキルを学ぶことが必要です。」

価値観が多様化している現在、一人ひとりの社員と向き合っていくことが何より大切です。

office toyooka「今話題のコーチング研修とは何か。その背景を分かりやすく紐解きます。」

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